10−10 仕事
平成18年度の後期に東洋大学経済学部で授業を担当しました。本稿は、その授業で話したことをもとに、二十年ばかり読んだり、書いたり、考えてきたりしたことを改めてまとめたものです。はじめて、大学の授業を担当して、自分の考えが整理されたことがたくさんありました。多くの学生の前で話すことは得難い経験でした。
就職や働くことについては、折に触れて授業で発言してきました。私が大学生のみなさんに伝えたいことは三つです。一つ目は、プライドを持って働くことです。暮らしていくには働かねばなりません。でも、お金を手にするだけで、自分にとって誇りをもてないような仕事だったら、いつか空しくなります。仕事につくと、仕事が平日の生活の真ん中を占めます。また、仕事は自己実現の場でもあります。誰かのためになっていると感じられる、プライドの持てる労働についてください。
二つ目に、専門性を身につけてください。競争社会の到来とともに、学歴社会は終わります。かわって、職歴社会がやってきます。職歴社会で、自らの道を切り拓くには専門性が求められます。平たくいうと「腕」です。時代が移り変わっても、変わらない本質的な技術やスキルを身につけてください。それが何かは、人それぞれによって違うでしょう。身につけるべき技術やスキルを絶えず考え続けることが、専門性を錆び付かせないことかもしれません。
三つ目は、フットワークです。学校では教室で待っていれば、教師はやってきますが、社会では自分で動かなければチャンスはやってきません。社会でのフットワークとは、誰かに接触したり、何かを試してみたりすることです。自分一人では知識も腕も時間も、すべてが限られています。フットワークよくすることは、身の回りのリソース(資源)を活用するということです。加えて、周りとコミュニケーションをとることです。仕事とは集団による活動であり、一人でするわけではありません。暗記力よりも、物事を伝えたり、伝えられたりするコミュニケーション能力の方がはるかに重要です。加えて、ノウフー(know who)も重要です。ノウハウ(know how)とは違います。ノウハウとは解決方法です。解決方法を自分で全部知る必要はありませんし、そんなことは不可能です。解決方法が分かっている人を知っている、ノウフーを持っていれば、どんな問題にも対処出来ます。というか、ノウフーこそかけがえのない資産です。コミュニケーションを図ることがノウフーの基本であり、フットワークよくすることがそのきっかけになります。
かく言う私も、ついついフットワークよくしたり、他人とコミュニケーションしたりすることを億劫にしがちです。自戒もこめて、学生のみなさんに向けて書きました。これから就職活動をする人、今活動中の人、活動がうまく行かなかった人、もうすぐ社会に出る人。いずれの人にも、本稿が何らかのプラスになることを願いつつ、筆を置くことにします。聴講、どうもありがとうございました。
« 10−9 良く | トップページ | ポリスのコンサート »
「学問・資格」カテゴリの記事
- 10−10 仕事(2008.01.13)
