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2007年12月24日 (月)

9−4 都市

 都市とは隔離された空間です。例えば、中世以降のヨーロッパやアジアの大きな都市は、高い城壁を備えていました。城壁は防衛機能を有するとともに、内と外とを区別するものでした。ウィーンやイスタンブールには部分的ではありますが、今でも当時の城壁を見ることができます。また、フランスやイタリアに行くと、山の上に鷹の巣のような小さな城壁の街が見られます。中世のイスラム勢力との争いから街を守るために出来た形です。その歴史性と美しい街並から、フランスのエズをはじめ、今では観光地になっています。
 都市は文明が成立するとともに形成されました。既に二千年前に、ローマは世界の都として百万都市に成長していたとの推計があります。近代の幕が開け、産業革命が始まると、産業集積がおきて百万都市がいくつも生まれました。初期産業革命の中心であったロンドンは、明治維新の頃には世界最大の都市となったそうです。パリやソウルなど、一国の中で特に首都が巨大都市として発展するのも近代以降の特徴です。現在、世界中の巨大都市に金融市場が整備され、ほぼ一日中、世界のどこかでマーケットが開かれています。巨大都市は連携して世界的機能を担うとともに、同時に都市間で競争をしています。東京はアジアの中心としての地位をシンガポールや北京やソウルと争っていますし、同時に世界的規模ではニューヨークやロンドンと争っています。東京は毎年のように新しいオフィスビル群が誕生し、地下鉄をはじめとする交通網も着実に機能アップしています。地方はあまり変わらず、東京ばかりが変貌すると感じますが、都市として絶えず変貌しなければ世界的な大都市間競争で東京は生き残って行けません。
 巨大都市管理の難しいところは、経済ダイナミズムを維持しつつ、景観や環境など社会面を考慮しなければならないことです。例えば、時々ではありますが、東京の都市問題解決策として山手線内の土地公有化が提起されます。山手線を城壁に見立てれば、城壁の内側と外側でルールを変えることはありえることでしょう。自民党でも宮澤喜一さんなどは若い時分に、部分的な土地公有制を提唱していました。土地公有化は極端な議論かもしれませんが、持続的発展のためには利用制限など「私と公」のバランスが強く求められます。景観や環境など外部経済の水準を保つことが、都市の経済ダイナミズムの維持にも長期ではプラスになります。
 東京は経済だけでなく首都としての政治・行政機能も持っています。しばらく前に首都機能移転が真剣に検討されていました。地震が頻発する日本列島で、首都を安全なところに立地しようとの意図が検討の背景にありました。大地震が東京を襲う可能性は減じていません。といって、キャンベラやブラジリアなど新首都建設は芳しい結果を招いていません。また、東京は非常に機能的な街であり、首都「機能」移転先(首都移転先ではない。)の総合機能は東京に劣ることでしょう。しかし、国家安全保障を考えるならば首都機能移転には今も魅力があります。全面的に移すのがマイナスなら、首都機能移転先と東京とで十年毎に首都機能を交替で担う方法があると思います。当初の非効率は免れないでしょうが、長期的には国家安全保障だけでなく、東京一局集中の緩和にも貢献すると考えます。

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