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2007年12月29日 (土)

9−9 エネルギー安全保障

 日本はエネルギー資源を海外に依存しています。日中戦争から太平洋戦争に戦争が拡大した理由の一つが、資源をめぐるものです。半世紀前も現在も、そしておそらく半世紀後も日本がエネルギー資源を海外に依存する状況に変わりはないでしょう。現代社会はエネルギー資源を消費して成り立っています。日本の食料自給率は40%ですが、エネルギー自給率はわずか4%にすぎません。エネルギー資源確保は国家安全保障の根幹です。
 オイルショックまでエネルギー供給に占める石油依存度は3/4を超えていました。石油と石炭の合計では九割に達していました。それが現在では石油依存度は依然高いものの、半分を切る水準になりました。他方、オイルショックまではわずかな供給だった天然ガスと原子力は、その合計が1/4を超える水準になりました。石油は中東など一部の地域に偏在していますが、天然ガスは地球上の広範囲に埋蔵が確認されており、安定的な供給が比較的可能です。また、原子力の利点は、原料であるウランが一度輸入され、原子力発電用の燃料として使用されると数年間利用できることです。原子力は蓄積性の高いエネルギー資源であり、資源の少ない日本にとってはある面では非常に魅力的なエネルギーです。
 総エネルギー供給でなく発電で比較すると、石油による発電はオイルショック前の七割から一割に減少しました。他方、それぞれ数パーセントだった原子力と天然ガスは、それぞれ1/3と1/4を超えるまでになりました。発電ではエネルギー供給源の多様化が着実に進展しています。全体としてはまだまだ脆弱ですが、日本のエネルギー供給において、現実的対策が行われてきたことはこの面からも伺えます。
 ただし、新エネルギーと呼ばれる太陽光や風力などのエネルギーも研究は進んではいるものの、エネルギー供給で占める割合は、この15年でほとんど変わっていません。新エネルギーがすぐに石油代替エネルギーになることはないでしょう。石油は安定供給のリスクが高く、石炭は環境負荷が大きく、新エネルギーにも過度の期待を欠けるのは現実性がないとなると、天然ガスと原子力が増加するのは合理的結果です。しかし、原子力はひとたび事故がおきると大惨事につながる可能性があります。チェルノブイリでは数万人の犠牲者を出し、大量の放射性物質が放出されました。日本でも東海村で事故が起き、死傷者が出ました。
 原子力を利用しないで済むならそれに越したことはありません。しかし、生活水準の維持や国家安全保障を考慮すれば、原子力エネルギーを適切に利用するのが次善の策です。言葉は適切でないかもしれませんが、ある種の必要悪として認めない訳にはいかないと考えます。先述したように、原料であるウランは、一度輸入され、原子力発電用の燃料として使用されると数年間、利用可能になります。これを考慮した推計では、日本のエネルギー自給率は4%から20%に高まります。メリットも大きいですが、原子力には大きなリスクが伴います。最終的にリスクを背負うのは国民ですから、原子力に関する情報公開は十分になされる必要があります。また、細部に至るまで、国等の外部機関が幾重にもチェックする実務が条件です。

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