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2007年12月25日 (火)

9−5 郊外

 戦後文化の特徴は郊外です。郊外は鉄道や道路などの交通網の発達が生み出した街です。第二次大戦後は世界中の先進国で郊外が広がりました。日本では特に高度経済成長以降、大都市周辺に多くのベットタウンが現れました。地方から都会に来た人や、都心では十分な住宅を得られなかった人にとって、郊外に住むことはとても魅力的な選択でした。
 70年代に全国で広がった大型ニュータウンの先駆けとして、東京近郊の高島平は有名です。72年から入居がはじまり、一面の田んぼは、またたく間に数万人が暮らすコンクリートの団地に変貌しました。地下鉄の駅、小中学校、公共機関が整備され、数年で新しい街が完成しました。ニュータウンは、田んぼや畑を整地したり、ときには海を埋め立てたりして建設されます。何もなかったところに、違った過去を持ち、同じような現在を持つ人が集まりました。他方、昔ながらの街は、過去も現在もそして未来をも共有する空間です。ニュータウンは、町内会を作ったり、お祭りなどの行事を開催したりして、しがらみのある昔ながらの街に近づこうとしました。しかし、新しい暮らしを求めて親世代がニュータウンに移ったように、成人した子ども世代は新しい暮らしを求めてニュータウンから移って行きました。子どもの声であふれていた高島平も、今では小学校が合併されるようになり、35年の時を経て老人の多い街になりました。
 80年代になると団地よりもゆとりのある戸建ての新興住宅街が建設されるようになりました。テレビドラマでも新興住宅街を舞台とするものが多く見られました。新興住宅街は持ち家の人からなるのがほとんどです。過去は共有しませんが、将来も顔をあわせる人達同士ですから、最低限のおつきあいは見られます。ですが、コミュニティの色彩はニュータウンよりも薄いでしょう。居住空間の広さから、成人しても親と同居を続けるのは新興住宅街ではよく見られます。また、干渉が少ないことは、裏を返せば孤立しがちな状況です。家族でトラブルが生じた場合、近所の知り合いがクッションになることは少ないので、事件となる確率も増えます。
 ニュータウンや新興住宅街の整然とした街並だけでなく、郊外には虫食い上に乱開発された地域も生まれました。住宅の周りは幹線道路、倉庫、農地などが混在していて、駅前もコンビニとパチンコ屋と自転車置き場からなる殺風景です。とてもじゃないですが、愛着の持てるような街並ではありません。開発が途中で止まった地域は荒れたままの状態でずっと放置されます。緩い土地利用規制の中、バブル経済など激しい地価の上下がひどい街並を作ってきました。美しいと感じるのは人それぞれでしょうが、酷いと感じるのはほとんどの人で変わりません。
 整然とした街を作る必要はありません。しかし、住んでいる人が愛着を持てる街並を作るべく、地域の議会や役所は取り組むべきです。これからの人口減少時代は郊外の人口流入も一段落します。郊外を再形成するのに適切なタイミングがやってきました。

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