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2007年12月28日 (金)

9−8 食料安全保障

 日本人は現在、平均して一日当たり約2500キロカロリーを摂取しています。ところが、国産の食料でまかなっているのは、このうちの1000キロカリーにすぎません。カロリーベースでは日本の食料自給率は四割です。四十年前は七割でしたが、長期下落傾向が続いています。これは、食料が輸入出来ない状況になると深刻な食料不足に日本が直面することを示しています。輸入が出来ない状況では、米、いも中心への生産転換などを行ったとしても、昭和20年代後半レベルの2000キロカロリーしか確保できないそうです。
 食料自給率が減少している供給サイドの理由は、耕地面積の縮小です。ピーク時の約3/4にまで縮小しています。100%の食料自給を達成するには、現在よりも2.5倍の耕地面積が必要と推計されています。さらに大きな理由は需要サイドでして、日本人の食生活が変化したことが関係しています。ごはん中心の食事から、食卓におけるおかずの割合が増え、肉、乳製品、卵などの畜産物が増加しました。同時に、あぶらを利用した料理も増えました。栄養面では炭水化物が減って、脂質が増えたことになります。日本では、米の自給率が高く、畜産物の自給率は低いので、食生活の変化に伴い、全体としての食料自給率が低下することとなりました。
 これに対して、政府は平成27年に食料自給率を五割にする目標を発表しました。一割増加ですので現実的目標と思われます。しかし、重点的に取り組むべき事項をみると違和感を覚えざるをえません。需要に則した生産の促進、食品産業との連携、効率的な土地利用の三つが掲げられていますが、当たり前のことばかりです。当たり前のことから取り組まねばならないのが、日本の農政の現状なのでしょう。政治的に強すぎた農家と、次第に弊害が大きくなってきた補助金制度が、短期的には妥当でも、長期的には妥当でない農政を続けさせてきたのだと考えます。
 食料安全保障を重視した場合、以前のような国内農業保護は一つの選択肢ではあります。しかし、食料だけでなく多くの資源を輸入に頼っており、同時に製品輸出を行っている日本にとっては、自由貿易こそが国家の基本姿勢です。つまり、途上国をはじめとする諸外国からの農産物市場開放には応じざるをえない立場です。しかし、平均賃金が高い日本では農業においても高い付加価値が必要になるため、国内農産物の価格競争力は外国産農産物に劣ります。結果として、食料自給率は高まりません。自由貿易と食料安全保障は、日本においては現状、二律背反です。
 結局は、日本の農業の競争力をあげる以外に道はありません。産地で取れた作物を産地で消費するという地産地消が唱えられたりしますが、食料自給を高める抜本施策ではありません。農業就労者が減少していることを逆手に取って、大規模経営や大土地所有を推進すべきタイミングでしょう。農地解放は中期的には正しい政策だったのでしょうが、小規模農業を促進しすぎました。戦後の農業政策を長期で見直すべき時期になっています。

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