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2007年12月 1日 (土)

7-1 軍事IT革命

 91年の湾岸戦争で米軍は強大な軍事力を世界に示しました。そして、03年のイラク戦争では更に圧倒的な軍事力を世界に示しました。湾岸戦争では一ヶ月におよぶ空爆の後に地上戦が開始されましたが、イラク戦争では驚くべきことに開戦後一日で地上戦が開始されました。地上戦開始が劇的に早まった理由は、空爆やミサイルで重要拠点を正確に攻撃し、イラク軍の指揮命令系統を速やかに破壊したからです。湾岸戦争とイラク戦争の12年の間に、カーナビで利用されているGPSを使った誘導爆撃が実戦で使用可能になり、空爆とミサイルの命中精度が飛躍的に上昇したことによります。
 空間面だけでなく時間面でも大きな技術進歩が生じました。湾岸戦争ではそれ以前と同様に、作戦計画を立て、詳細な作戦命令書を作成するプロセスでした。前線には、司令部が承認した個別の作戦命令をファックスなどで送信していました。かたやイラク戦争では、司令部が作戦遂行中の攻撃機を常に把握し、航行中の攻撃機へ衛星通信を介して個別の作戦を直接送信しました。これによって、従来、数日を必要としていた作戦変更がイラク戦争では数時間に短縮されたそうです。また、湾岸戦争ではいちいち司令部を通じて入手していた偵察衛星の画像が、イラク戦争では前線の地上部隊が司令部を介さずに直接入手できるようになりました。そのため、前線がリアルタイムに周辺状況を把握し、状況に応じて作戦を遂行するが可能となりました。効率的に兵力を運用したことなどから、投入された兵力は湾岸戦争の66万人に対して、イラク戦争では26万人にとどまりました。
 軍事上の革命をRMA(Revolution in Military Affairs) と呼びますが、現在進んでいるITを利用したRMAを情報RMAや軍事IT革命と呼んだりします。GPS、無人偵察機、衛星回線、大規模データベース、専用デバイスなどによるネットワーク化、IT化を通じて軍事部門は歴史的変化のまっただ中にあります。この分野において、他国の追随を全く許さないのが米軍です。特にブッシュ政権では、トランスフォーメーション(変革)というスローガンのもと軍事IT革命は強力に推進されました。軍事部門のIT化には莫大な財政力と最先端の技術力が必要になります。世界GDPの三割を占め、ITで世界をリードするアメリカだからこそ、軍事IT革命が現実のものとなっています。軍事的脅威は、冷戦の終了により大国に起因するものは薄らぎましたが、9.11同時多発テロをはじめとする不特定のものは、むしろ拡散している状況にあります。よって、米軍は機動的な兵力展開が必要であり、軍事IT革命による効率的な部隊運用が求められています。さらに、ITのよる戦争の無人化は自軍犠牲者の減少に資する面もあり、世論対策としても重要です。
 軍事IT革命はこれまでのIT革命で現実化した最も大きな成果であると評価する声があります。インターネットの起源は軍事部門でした。インターネットが軍事部門から民生部門に転換されたように、今後は軍事IT革命の成果が運輸や物流など民生部門で応用されるでしょう。そして、民生用として発達した技術が更に軍事用にフィードバックされる構造だと思います。

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