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2007年12月18日 (火)

8−8 失業

 長期的傾向として日本では失業率が高まっています。高度経済成長期には1%前半でしたが、今世紀に入ると5%を超えることもありました。経済成長段階では単純労働の需要が強くあり、特別の知識や技能がなくても多くの働き口があります。しかし、経済成長を遂げると、産業は高度化し、特別の知識や技能が求められる度合いが高まります。同時に、賃金水準が上昇するため、単純労働を必要とする産業は海外に流出します。経済の必然です。労働者は使用者よりも立場が弱いですから、最低賃金を定める社会的必要はありますが、この最低賃金水準も海外との競争を考慮しないと雇用全体を減らすことになります。
 同じく長期的傾向に自営業や家族従業員の低下があります。長期統計は多少のでこぼこがあるものですが、このデータは戦後一貫した傾向にある珍しいものです。裏をかえすと勤め人の割合が増加しています。戦後、半分だった勤め人の割合は、現在では働く人全体の九割に迫ります。サラリーマン社会の拡大です。自営業を続けることは簡単ではないということでしょう。さらに、労働時間の減少も長期傾向です。現在は高度経済成長期のピークにくらべて、3/4になりました。米英と同じくらいの水準です。仏独などのヨーロッパ大陸諸国には未だ及びませんが、長時間労働の減少は社会的に好ましいことです。
 一般的には景気が良くなると失業率は低下し、悪くなると上昇します。しかし、90年代は景気に関わらず、失業率の上昇が続く期間でした。企業は事業の再構築(リストラクチャリング)に積極的に取り組みました。そのため、本来の意味からそれて、従業員を解雇することがリストラと呼ばれるようになりました。企業が競争を繰り広げる資本主義に失業はつきものです。ですので、失業者のためにセーフティネット(安全装置)は必須です。いわゆる失業保険は、失業期間中の生活を保障する制度です。他方、職業訓練は再就職を支援する制度です。産業の高度化にともなって、求められる知識、技能は変化しますから、職業訓練の機会を国が提供することは意味のあることです。ですが、地域や年齢による雇用のミスマッチを埋めるのは、なかなか難しいのが現実です。
 近年、労働コストを押さえようと企業は正社員を減らして、パートや派遣社員を増やしています。既に、労働者の1/4は正社員ではありません。正社員と非正社員で同じような内容の仕事をしている場合すらありますが、非正社員の賃金は正社員に比べるとずっと低い水準でして、効率化のしわ寄せを非正社員が被っている格好です。他方、巨大企業の正社員は実質的に雇用を保障されています。それが結果として、若者の雇用機会を奪っていることもあるでしょう。労働市場は公平でなくなりつつあり、正社員であることがいまや既得権になってきました。もはや、大企業の労働組合は弱者の代表ではありません。皮肉にも勝ち組の一角です。
 しかし、正社員をうらやましがっても問題の解決にはつながりません。非正社員や失業者から正社員になろうとするなら、専門性のある知識や技術を習得して、自己の経済的価値を高めしかないでしょう。そういう姿勢はいつか必ず実を結びます。

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