8−7 障害者福祉
厚生労働省によると、身体障害児・者が約350万人、知的障害児・者が約45万人、精神障害児・者が約260万人と推計されています。重複して推計されている人もいるでしょうが、何らかの障害を持っている人はおおよそ20人に一人の割合になります。多くの人は身内や知り合いなどに障害を持っている人がいると思います。
福祉という言葉は、英語のwelfareの訳語として日本国憲法起草時に作られたそうです。日本国憲法第25条には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)が明記されています。権利としての福祉です。これに対して戦前は困った人に施しをするような行政だったそうです。個人的には、第25条は日本国憲法で一番重要な条文だと思います。この条文を実現するのが障害者福祉の一つの目的でしょう。昭和24年に傷痍軍人等の保護の必要から身体障害者福祉法が制定され、その後、精神衛生法や知的障害者福祉法が整備されました。
平成18年度の厚生労働省による障害者施策関係予算は8千億円強です。国家予算のだいたい1%です。厚生労働省によると障害者福祉サービスは増加が見込まれます。そのためもあり、利用者である障害者にも原則一割の負担などを求めたのが障害者自律支援法です。平成18年から施行されています。国家財政が厳しい中、政府が利用者に負担を求めることはありえないことではないでしょう。そうであるにしても、多くの関係者から制度改正には強い批判があがりました。国の制度というのは大規模なものなので、杓子定規な部分が生じるのは通常では仕方がない面があります。しかし、こと福祉に関しては別だと思います。障害者の多くは月10万円前後の年金や手当により生活しています。聖域視する気はありませんが、福祉の現場に対する制度の影響は非常に大きいものです。福祉行政には現場での弾力的運用が求められると思います。また、障害者自律支援法には附則で必要な検討がもりこまれています。問題があれば、法律に定められた期限によらず、すぐに変更すべきです。
障害者の自律を支援するという法律の目的は評価できます。障害者も社会の一員であり、担える役割は多くあります。障害者を施設や家の中に押しとどめる必要は全くありません。また、七割の障害者に労働意欲があるとの調査結果もあります。しかし、障害者雇用において法定の雇用率は半分も達成されていません。しかも、大企業ほど達成率が低下するという悲しむべき状況です。達成していない大企業は、華やかに社会貢献活動を広報する前に、法的責任から手を染めるべきです。
それから、障害者をもつ家族にも目を向ける必要があります。障害者の日常を支えているのは家族であることが多いでしょう。重度障害者の年老いた親が将来を悲観して障害を持つ子供と心中をはかることがあります。いたましいかぎりです。困難な道のりですが、そのようなことが起きない社会に近づかねばならないと思います。
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