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2007年11月16日 (金)

5−6 国内法と国際法

 法律は、国内ルールの国内法と国際ルールの国際法とに分けることが可能です。先に取り上げた民法、商法は私的領域に関する日本国内のルールです。公的領域に関するルールは一般に公法と呼ばれます。行政に関する法律などがこれにあたります。自動車免許や営業免許などが日常生活で身近な行政行為でしょうか。これらは、通常は禁止されている行為ですが、誰でも免許を取ることによって解禁されます。似たようで少し違うのが、通信事業や鉄道事業の許可です。許可を取得してはじめて権利や地位を得ることができます。非常に古い例に、17世紀からインドでの貿易を独占し、後にインドを支配したイギリスの東インド会社があります。東インド会社はイギリスのエリザベス女王から特許状を得て、設立された会社でした。また、エリザベス女王は海賊に特許状を与えて、イギリスの海上利権の確保を目指しました。今なら犯罪支援なので、とんでもないことです。
 許可など国の行為は時に生命に重大な影響を及ぼすことがあります。薬害エイズ事件では当時の厚生省が対策を誤ったために、被害が拡大したと裁判で認定されました。しばしば、行政は関係事業者などの利害を重要視しすぎます。また、専門的視点を重視するあまり、総合的判断を誤ることがあります。したがって、許認可も失敗する可能性があることを前提にして、その対策を講じる必要があるでしょう。情報公開や第三者による行政評価は、失敗の早期発見に資するものです。
 国内法としては、地方自治体の定める条例の役割が社会的に上昇していると感じます。例えば、迷惑防止条例は痴漢や暴力の防止に運用されますし、最近ではストーカー行為も対象範囲です。99年に児童回春・児童ポルノ処罰法が出来る前は、児童回春を淫行条例で取り締まっていました。同じく、04年に景観法が出来る前から、500を超える景観条例が存在し、屋外広告の制限や景観の保護がなされてきました。有害図書の指定をする青少年保護育成条例は、国が表現の自由に踏み込むのを避けるための現実的方策として普及しています。柔軟かつ機動的な対応として、国による法律よりも地方自治体による条例の方が優れていることがあるでしょう。条例の役割増大が、現実的な地方分権の近道であると考えます。
 他方、条約の果たす役割も増加しています。世界の貿易は、95年からWTO協定によって多くのことが定められ、150を超える国が国際ルールに加わり、自由化を進めています。さらに、二国間以上の地域で自由貿易地域を結成する自由貿易協定(FTA)も拡大しています。また、インターネットによる世界的な情報流通の拡大から、著作権や通信・放送では国内法で規制する意味が薄らいできました。世界的に同じルールにしないと、抜け穴が出来てしまい、各国の国内法での規制が無意味になってしまいます。
 国際法としての条約の役割と、国内法としての条例の役割が増加する傾向にあります。国家による固有の法は従来よりもその社会的比重が低下するでしょう。

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