6-9 南米、アフリカ
オーストラリアなどのオセアニアのほか南半球には南米とアフリカがあります。北半球と南半球の格差は南北問題として約50年も指摘されていますが、いっこうに解決する兆しがありません。100万人以上の日系人社会があるブラジルなどを除くと、南米とアフリカは日本にとって遠い関係の国々です。しかし、国際連合は加盟国それぞれが一票の議決権を有していますので、南米やアフリカとの関係は国際社会では非常に重要になります。中国が資源需要などで南米やアフリカと関係を強める中、日本もODAの戦略的利用を検討してもよいでしょう。
南米の経済・社会の特徴は資源が豊富であり、貧富の格差が著しいことです。コロムビアなどでは、激しい貧富の差が劣悪な治安の一端にさえなっています。また、豊富な資源は奪い合いにつながったり、武器・装備の資金源になったり、皮肉にも社会的にはマイナスに働くことがあります。ベネズエラはコロムビア同様に資源が豊かな国でして、07年現在、資源を国有化し、社会主義的な政策を取る傾向にあります。背景には、アメリカ型の自由主義経済が貧富の格差を巨大にしたとの認識があるようです。これまで南米各国はアメリカと密接な外交関係を有してきましたが、ベネズエラをはじめ、アメリカと距離を置く外交を展開しようとする国が近年、増えています。
社会主義的政策を取ろうと外交路線が何であろうと国家が機能しているのであれば、最低限の治安は確保されます。ところが、アフリカには国家が機能していない破綻国家が散在します。警察も学校も電気や水道などのインフラも麻痺した状態です。長期化する武力対立が原因のほとんどです。第二次大戦後に、紛争や内戦やクーデターを経験していない国はアフリカでは二割にすぎません。部族対立、資源争奪、宗教対立、国境紛争など原因は多岐にわたります。50年前のアフリカでは一人当たりGDPは途上国平均を上回っていたそうですが、相次ぐ内戦などにより、近年では約半数の人が一日を一ドル未満で生活する最貧状態にあります。さらに、エイズの蔓延が社会を破綻に追いやっています。全世界のエイズ死亡者数の八割以上がアフリカに住む人々です。アフリカ南部では最近10年でエイズにより平均寿命が10才以上短くなった国があります。国民の三割がエイズを患っており、平均寿命が30才台前半になると予測されている国もあります。
エイズに対してであれ、武力衝突についてであれ、国連など国際社会は何もしなかったわけではありません。例えば、90年代初頭のソマリアには多国籍軍を投入しました。しかし、多国籍軍は人的損害を被り、撤退する結果に終わりました。内戦であれ、やくざの抗争であれ、仲裁は圧倒的な力の差を背景にしないと成立しません。ルワンダではソマリアの失敗から介入が躊躇されて、虐殺は約80万人に及んだとの推計があります。治安でもエイズ予防でも、国際社会の全面的な介入がなければ破綻国家の問題は解決しません。しかし、リスクを侵してまで破綻国家を救済しようとする国はわずかです。
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