6-10 国連
国際連合は国連憲章という条約に基づく組織です。略して国連です。1945年10月に第二次大戦の戦勝国(連合国)を中心に設立されました。中国語では国連を連合国と呼びます。戦中も戦後も同じ呼び名です。戦中の連合国と戦後の国際連合が実質的に連続している一つの証左でしょう。
国連の最大目的は世界平和です。方法は集団安全保障というものでして、武力を行使した国があったら、国際社会全体でその国に制裁を課すやり方です。制裁には経済的制裁も軍事的制裁も含まれます。戦前の国際連盟は軍事的制裁を想定していなかったので、現実に平和を維持する力がありませんでした。その反省から戦後は、国連が自前の軍隊を持ち、軍事制裁を可能とする建前になりました。しかし、国連が設立されて60年が経ちますが、国連自らが指揮する国連軍は一度も組織されたことがないそうです。安全保障理事会の決議に基づいて、各国が軍隊を派遣する方式が取られてきただけです。
安全保障理事会は国連の本質です。15カ国からなる構成ですが、5つの常任理事国には拒否権があります。アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国が絶対に反対することは安全保障理事会の決議になりません。つまり、国連の意志になりません。これは第二次大戦の主な戦勝国が得た特権です。なんだかんだと理由をつけて、常任理事国を増やさないのは、五カ国からすれば当然です。現在の国際秩序を築いたのは自分たちだとの自負があるからです。薩長が仲違いしていても、他藩が割って入ろうとした場合には一致協力したのと同じです。現在では空文化していますが、国連憲章には敵国条項という規定があります。第二次大戦中の敵が国連憲章に違反した場合は、無条件に軍事制裁を課せるとの内容です。元々は、日本やドイツを念頭においた規定でした。そういう成り立ちですから、日本やドイツが常任理事国入りすることは並大抵ではありません。
安全保障理事会以外にも色々な機関が国連にはあります。ユニセフは、紛争などで被害を受けた子どもを支援する機能を持っています。ILOは男女雇用機会均等や児童労働撲滅運動を推し進めています。WHOは伝染病対策や医療普及を担っています。紛争地域や途上国の弱者に対して、これらの機関が果たす役割は決して小さくありません。また、国連平和維持活動(PKO)も紛争の抜本的解決にまではつながりませんが、選挙監視や復興支援など一定以上の成果を修めています。したがって、約二割の国連予算を負担している日本は、それなりの国際貢献をしていることになります。
最近は減ったようですが、国連に過度の思い入れをすることは意味がありません。国連は国家の集合体であり、国際的な公共機関です。特定の政治的理想を期待してもお門違いです。それらは勝手な思い込みにすぎません。また、国連中心主義というのも、よくわからないお題目です。長い物には巻かれろというくらいにしか聞こえません。国連は国際社会において最悪の事態は回避し、少しでもよくするための現実的手段です。それ以上でも以下でもありません。
