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2007年11月26日 (月)

6-6 EU 

 EUは英語のヨーロピアン・ユニオンの略です。欧州連合と日本語では訳されます。ヨーロッパの国家連合でして、07年現在は27カ国が加盟しています。加盟国全体の人口を合計すると4.6億に達し、経済規模はアメリカと同程度になります。加盟各国の平等性に配慮し、公式文書は22カ国語にも翻訳されます。公平や平等というのは効率とは相容れないことを示す例です。
 EUの前身はECと呼ばれる国家連合でした。関税、農産物価格、エネルギーなど、ヨーロッパにおける経済問題解決に取組む機関でした。このECが条約によって、93年にEUになりました。理由は、経済統合を進めることと政治統合を目指すことです。02年からは統一通貨ユーロが流通しており、07年には約半数の国が使用しています。また、EU内では労働移動も通商も自由です。各国の間では、域内国籍のパスポート・コントロールも、税関もありません。人(労働)、モノ(通商)、金(通貨)の流れに国境がなくなったことになります。国境を越える経済に国家制度を合わせました。
 ヨーロッパは共通性が多い地域です。ローマ帝国がヨーロッパの広範囲を統治したために、ギリシア・ローマ文化の影響がヨーロッパ中に広がりました。ローマ帝国の公用語だったラテン語もヨーロッパの様々な言語に影響を与えました。例えば、学問の世界では19世紀までラテン語が中心的な言語でした。また、カトリック、東方正教会、プロテスタントなどキリスト教がヨーロッパ全域に広がりました。文化、言語、宗教の各方面で共通性を有する歴史です。アジアやアフリカとはこの点が大きく異なります。
 近代の500年はヨーロッパが世界史の主役でした。ローマ時代のヨーロッパは世界の先端地域の一つでしたが、中世の約千年は必ずしも先進的な地域ではありませんでした。それが、ルネッサンスを契機に合理的な精神が普及し、市民革命や産業革命を経て、世界の最先端地域になりました。ピークは19世紀の帝国主義時代だったでしょうか。その頃のヨーロッパの存在は圧倒的であり、世界全体がヨーロッパ各国に進出されました。科学技術など近代文明=ヨーロッパ文明でした。現在ある国家の制度を作り上げたのもヨーロッパ各国です。ヨーロッパは国民国家、近代国家の発祥地でもあります。
 そのヨーロッパで、国家の上に国家連合が構築されました。EUでは現在、各国による欧州憲法の批准手続が行われているところです。EUが出来て、各国内では地域主権を求める声が高まっています。また、少数民族地域も文化的な運動を強める傾向です。国家の存在が相対的には小さくなっています。そもそも、国家とは政治的な枠組みです。地域とは文化的つながりの範囲であり、経済は国の範囲を越えるようになりました。政治も経済も文化も国家の枠組みで運営されたのが近代でした。しかし、政治と経済と文化のそれぞれの範囲が異なるようになりました。であれば、無理に一緒にするほうが不合理です。近代を生み出したヨーロッパの新しい知恵がEUだと考えます。
 しかしながら、政治的単位としての国家はしばらく続くでしょう。なぜなら、政治的には国家は未だ最後の拠り所だからです。

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