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2007年10月 3日 (水)

1−3 日本発見

 最近の日本文化を表す言葉にジャパニーズ・クールがあります。マンガ、アニメ、ゲームなどの分野で、日本の作品が欧米の若い人達からクール(かっこいい)と評価されている現象を指します。国際政治学などでは、このような国際的な文化力をソフトパワーと呼んで、軍事力などのハードパワーと別に注目する研究者がいます。従来から台湾をはじめとするアジアでは、日本のアニメやテレビ番組が若い人の間で広く流行することがありました。ただし、それらの流行時期には、文化(カルチャー)だけでなく日本の経済力も注目されていました。これに対して、ジャパニーズ・クールは文化単独で評価されているところが異なります。
 実際、アメリカの複数都市で日本のアニメキャラクターに扮するコスプレイベントが開催されたり、ヨーロッパの大型書店で日本のマンガコーナーが大々的に開設されていたりしています。日本ブームと呼んでも良いくらいです。
 でも、日本のマンガやアニメやゲームのクオリティが急に上がったわけではないでしょう。ずっと一貫して、高い品質を維持してきたと思います。また、国内では数十年の間、変わらぬ影響力を、特に子どもに与えてきました。かく言う私も影響を受けた世代です。
 変化したのは、むしろ欧米の方です。歴史的に社会的格差が大きかった欧米でも、ここ何十年と安定した社会環境が続き、だんだんと中間層が拡大してきました。その結果、従来の日本の総中流社会と似たような面が出てきたのでしょう。だから、戦後日本の一億総中流社会が生み出したマンガ、アニメ、ゲームなどの文化が注目を集めるようになったのだと考えます。
 話は変わりますが、ポルトガルのリスボンの河岸にジェロニモス修道院というゴシック様式の立派な修道院があります。アフリカの南を回って、インドに到着したバスコ・ダ・ガマの財宝をもとに建築されたものです。ガマはアフリカ南端周りでインドに続く航路を初めて発見したヨーロッパ人であるとされています。インド航路の開拓によって、ポルトガルは海上帝国へと歩んで行きました。
 その教会の近くに「発見のモニュメント」という名の記念碑があります。そこには、1541年日本発見と刻まれています。1541年に豊後に漂着したポルトガル船をもって、ポルトガルが日本を発見したことになっているようです。でも、ポルトガルに発見されるずっとずっと以前から日本はありました。アメリゴ・ヴェスプッチが発見する以前から新大陸アメリカが存在していたのと同じです。
 日本のアニメやマンガやゲームも少し前からあるものです。それに対してジャパニーズ・クールといって、急に欧米が評価するのにも、日本発見と似たような印象を抱いてしまいます。ともあれ、異文化に対する勝手な思い込みと、それへのささやかな反感も国際交流には違いありませんが。

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