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2007年10月14日 (日)

2−4 シリコンバレー

 サンフランシスコの近くにシリコンバレーという地域があります。バレーと名前がついていますが谷というわけではなく、複数の都市がある一帯をさします。シリコンとはコンピューターで最も重要な半導体の代名詞です。コンピューターの街、ITの街です。
 半導体の研究所が設立されたのがきかっけで、以降、色々な企業が集積しました。同時に、世界中から優秀な研究者が集まりました。今では、世界的なビジネス地域です。単なる研究開発都市ではありません。
 シリコンバレーの注目すべき点はそのシステムです。大学や研究所に世界中から優秀な研究者が集まります。研究者はしのぎをけずって競争し、うまく行きそうなら研究開発をもとにベンチャー企業を立ち上げます。創業まもないベンチャー企業はエンジェルと呼ばれる投資家から資金を集めます。エンジェルは成功した起業家だったりします。ベンチャー企業は研究開発を進めるかたわら、さらにベンチャー企業専門の投資会社から資金を集めます。製品販売やサービス提供が始まるまで、ベンチャー企業には収入がありませんので、資金集めは最も重要な仕事です。無事、製品販売やサービス提供にこぎつけ、その上、市場で成功するベンチャー企業は万に一つでしょう。しかし、株式上場や企業売却がうまく成功すれば、創業者は億万長者になります。株式を公開する前後は企業も急成長します。その段階にはプロの経営陣が取締役に加わります。いくつもの会社を運営してきた経験者です。財務や法務のプロも加わるでしょう。大企業があっという間に形成されます。その企業に値上がりや配当を期待して、一般の株主が集まってきます。
 日本で研究開発の議論を聞くと、個別技術の話に陥りがちです。また、政府の研究開発支援などの話にもなりがちです。個別技術の観点も政府の研究開発支援も重要です。しかし、部分にすぎません。いくら零戦の性能がよくても、太平洋戦争には勝てませんでした。問題は全体のシステムです。
 国際競争力という言葉を耳にします。いろいろな議論がありますが、地域が、人やモノやカネや情報を引きつける力が国際競争力でしょう。国内でみると、大阪が失い、東京が保っている力と同じです。大阪は主に大阪周辺の人で切り盛りしています。東京は日本全国から人があつまります。移民に象徴されるように、アメリカは世界から人やカネを集めて勝負するシステムです。シリコンバレーはそのシステムで運営されています。人やカネが集まらない限り、現在のままでは大阪が東京に勝つ見込みは低いでしょう。それと同じで、国外の力を集めて活用しない限り、日本がアメリカに勝つ見込みも低いです。
 なお、国際競争力と聞くと、国産企業が潤い、貿易黒字が増えることだと勘違いする人がいます。しかし、良かった頃のイギリスも現在のアメリカも一貫して貿易赤字国です。国内をモデルしてみると東京23区はずっと国内貿易赤字です。だが、国内では東京はダントツの競争力を持ちます。競争力と貿易黒字は直接関係ありません。

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