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2007年10月 8日 (月)

1-8 著作権は歴史的産物

 複製が簡単に手に入るようになるまで、コンテンツは著作権とは無縁でした。本を書き写すことはとても労力がかかり、量が限られるため、原作者は写本の流通に神経質にならずに済みました。変化のきっかけは、グーテンベルグにより活版印刷が普及し始めた15世紀です。16世紀以降はベネツィアなど出版が盛んな地域で、書物に関する著作権が確立しました。19世紀になると音楽も著作権の範囲に含まれ、以降、映画やコンピュータ・ソフトウェアなども対象に加わりました。著作権は歴史的な所産です。コンテンツとコピーの流通とを社会的にバランスすることが役割です。
 詩を書いたり絵を描いたりすると、大人であれ子どもであれ創作した人は自動的に著作権を手にします。著作権は条約で国際的に定められ、詳細が各国の法律で決められています。英語ではコピーライトと言います。コピーする権利と訳せます。勝手にコピーするな!ぱくるな!が創作者の素直な気持ちであり、権利です。コンテンツが正当に流通し、利用者がコンテンツを楽しみ、著作権者が経済的なリターンを手にするのが望まれる環境です。
 技術がアナログ方式ですとコピーする毎に品質が落ちます。ビデオテープをダビングして画質が劣化した場合を思い浮かべてください。他方、デジタル方式ではコピーをしても品質は劣化しません。録音可能なデジタルメディアが売り出され、オリジナルと全く同じCDの複製が可能になって、デジタルコピーの問題は顕在化しました。ただし、CDなどのパッケージ流通の間は、既存ビジネスへの影響はあるレベルに止まっていました。
 それが、21世紀になる頃からコンテンツは、どんどんネットで流通するようになりました。コピーを流通させるコストが著しく低下し、違法なコピーが急拡大しました。こうなるとCDやDVDなどのパッケージを制作・販売するビジネスモデルは大きな打撃を被ります。対抗策としてコピーは一回だけとか、コピーは出来ないなどの規格が広がりました。
 でも、それによって利用者・視聴者は不便を感じることが増えました。コンテンツとコピーとのバランスが崩れてきた証拠です。将来的には指紋認証などを使って、ネットワーク上での完璧なコピーコントロールが可能になるでしょう。親が購入したコンテンツは子供もネットワーク上で正式認証を受けた後、利用可能になるようなシステムです。そうなるまでの間は暫定的なルールで対処するしかありません。主な問題はビジネスですから、きちんとした客がついてお金が回るビジネスモデルが出来上がるかどうかにかかっています。
 ゴッホは生前、一枚しか作品が売れませんでした。それでもゴッホは描き続けました。表現することと生きることは同じだったのでしょう。著作権問題は財産権の問題がほとんどです。金銭的リターンはとても重要ですが、制作者にとっては表現することこそ最重要です。制作者が自由に表現を生み出すことができように社会を設計することが、コンテンツ政策の目的だと考えます。著作権制度にもその視点が大切です。

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