3−1 経済と経済学
バブル崩壊以降、「景気が悪い」とずっと言われていた気がします。景気という言葉は日常生活でも頻繁に耳にします。普通の人にとって、経済と景気は同じ意味合いではないでしょうか。個別の企業や個人の努力を超えた、大きな経済の流れをときどき実感させられます。商売や生活は景気に左右されるので、多くの人にとって景気は関心事です。設備を導入したり、店舗を増やしたりする場合には景気の先行きを検討することが必要です。景気に関心がある人で、新聞社の景気討論会はいつも満員です。景気討論会では専門家の予測がいくつもに分かれます。未来は誰も分からないので当然と言えば当然ですが、経済の専門家同士が時に正反対のことを言うのは不思議な感じでしょう。また、経済学ってそもそも役に立つのか、との疑問を時々耳にします。
経済学とは経済のメカニズムを理解しようとする学問です。需要と供給、価格と数量、GDPと物価など経済的な事柄の関係性を研究します。どの株式銘柄が上昇するかとか、明日の円相場がいくらになるかということを予想出来るわけではありません。経済学では経済的な関係性をグラフや数式で表すことがあります。このグラフや数式の元となる理論については、専門家はだいたい同じ認識をしています。しかし、重視するデータや数式は人それぞれです。その結果、時には専門家の数だけ異なる分析結果が生まれたりします。
株式であれ、外国為替であれ、相場は大きく動きがちです。需要と供給が落ち着く状態を均衡といいますが、均衡から均衡にスムーズに移動することはまれです。一直線に動くよりも遠回りや道草をすることばかりです。経済の根っことなる要因は専門用語でファンダメンタルと言われます。ファンダメンタルによって経済は決まると経済理論は説きます。しかし、短期の市場はそんなに行儀よくありません。時々の雰囲気や気分に大きく左右されます。ファンダメンタルで決まるよりもセンチメンタルで決まると教えられる方がしっくりきます。
ですが長期となると話は別です。10年以上の長期なら、経済学は現実をよく説明します。長期的には需要と供給で市場(マーケット)は決まります。政府の介入など、人為的な効果は長続きしません。長い目で見ると落ち着くところに落ち着きます。バブル景気以前は、日本では土地は価格上昇を続ける財産だと信じられてきました。でも、そんな財産は世の中に存在しません。戦後、値上がり期待により地価は上昇を続けましたが、平成に入るとシャボン玉がはじけるように下落し、土地に乗っかっていた経済も一緒に萎みました。
バブル経済は歴史上でしばしば起こります。1920年代後半のアメリカもその一つです。その反動もあり1930年代のアメリカは大恐慌に陥りました。当時の経済学は、長期では経済は必ず回復すると説き、有効な政策を講じませんでした。しかし、高名な経済学者が言ったとされている通り、人は長期では皆死にます。不況克服が経済学の課題に加わり、その後の研究はある程度、好結果を生み出しました。経済学とは価値観と結びついた科学です。価値観によって経済学の理論も学派も異なります。
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