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2007年10月17日 (水)

2−7 IT法

 音楽をインターネットや携帯電話で配信するサービスが拡大しています。また、マンガをインターネットで配信するサービスもあります。従来、CDなどのパッケージや、雑誌などの紙で流通していたコンテンツがインターネットでも流通するようになりました。日本のコンテンツ市場は12〜13兆円の規模です。日本全体の総需要・総供給はざっと1000兆円なので、コンテンツ市場は日本経済の1%程度です。この分野のネット流通が経済全体に与えるインパクとは実はそれほど多くないことが分かります。
 他方、インターネットや携帯電話で買い物をしたり、オークションに出品したりすることも普及しています。これまで現実に対面して売り買いしていた内容が、ネットを介してやり取りされるようになりました。医療では、手術に関する画像データを送ることにより、遠くの医師から専門的アドバイスを得る実験が試みられています。教育では、インターネットを使って、双方向の遠隔教育を受けることが可能になっています。ただし、まだまだ法律や業界ルールなどの壁に当たり、広く利用されているわけではありません。
 情報通信の社会的なインパクトは、情報通信産業が大きくなることではなく、社会生活や経済活動の営みが変わることです。医療でも、教育でも情報通信の利用によって、これまでのやり方が段々と様変わりしていくことでしょう。顔と顔とを向き合わせて行われていた活動が、ネットを通じて行われるようになります。インターネットという仮想空間での営みが広がっています。
 アメリカは西へ西へと開拓を進めました。それがつきるとフロンティアを宇宙に求めました。インターネットが新しい空間であり、フロンティアであるなら、開拓時代のようにアメリカ人が精力的にインターネット開発を進めるのもうなずけます。
 順番としては、最初に技術が変化します。それに伴って、一部の人の行動が変わります。しかし、新たな行動パターンは従来の習慣とは相容れないことが多いものです。インターネットでも携帯電話でも、普及の過程ではプライバシーなど多くの面でトラブルがおきました。トラブルを経るうちに、皆が妥当だと認める線がだんだんと常識になっていきます。今後もインターネットでの社会生活や経済活動が増える毎に、新たな形のあつれきが発生するでしょう。時間を経て、社会常識や商慣習が変われば、それらを基にする法律や業界団体のルールも変更せざるをえません。従来、法律は人権や物権という風に、人やモノを直接の対象にしてきました。これからのネット時代では、情報という形の無い物を法律が対象にすることが増えるでしょう。
 ただし、急ぐ必要はありません。世の中の認識が変わる前に、法律や制度を変更することは混乱につながります。専門家が少し遅いと感じるくらいが社会的には丁度良いでしょう。法律や制度は先人の知恵を形にしたものでもあります。先人の知恵を尊重することは、現在と過去との対話であり、生者のみならず死者もが参加する民主主義です。

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